FOOTBALL VISION ホーム ▸ 2015年8月23日 サッカーを通した平和への取り組み。広島で行われた平和記念大会。

サッカーを通した平和への取り組み。広島で行われた平和記念大会。

 8月8日〜12日。広島市で2015平和記念国際ユースサッカー大会が開催された。
 参加チームは、地元広島県高校選抜、U-17ポーランド代表、U-17ウズベキスタン代表、U-16日本代表の4チームであり、総当たり方式で試合が行われた。

 ウズベキスタンとポーランドが初戦で対戦したが、結果的にこの試合が優勝決定戦となった。
 身体の重いポーランドに対して、ウズベキスタンは前半の内に2点を先制。しかし、後半奮起したポーランドは2点を取り返し、最後まで両者が攻め合う白熱した試合は前後半で決着が着かず、2−2でPK戦にまでもつれ込んだ。
そして、最後はウズベキスタンがPK戦の末に勝利し、第2戦で日本に1-0、第3戦で広島に3-1で勝利し、全勝で優勝を飾った。

 ウズベキスタンは今年行われたU-20W杯でも決勝トーナメントでオーストリアを2−0で撃破して、2大会連続で世界でベスト8まで進出しているが、近年各年代の世界大会で結果を残している。
 そのウズベキスタンがこの大会でも勝負強さを発揮した。
※ウズベキスタンの勝負強さの要因については以前こちらに寄稿させていただいたので参考までに。
ウズベクのサッカーが遂げた劇的な躍進
勝負強さ養うリーグ構成の仕組みとは


 U-17ポーランド代表には、レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)所属であり、ザルツブルクの傘下のリーフェリングで今季17歳ながら現在すでにオーストリア2部リーグでベンチ入りしているGKジネルや、今年1月に推定移籍金4億円でレギア・ワルシャワ(ポーランド)からアーセナル(イングランド)へ完全移籍したMFビエリクなどもいる。
 今回はクラブとの折り合いがつかずに両選手は来日できなかったが、卓越した技術と広い視野で攻撃の起点となるチェルシー(イングランド)所属のゲームメーカーのMFアダムチェク、ドルトムント(ドイツ)所属のMFオスタシャウスキらは来日し、試合に出場した。
 アダムチェクは非凡なパスセンスを魅せ、オスタシャウスキは中盤の底で巧みにバランスをとった。ポーランドのレフ・ポズナン所属のMFユーズヴィヤクの、一瞬で相手DFを置き去りにする圧倒的なスピードと力強い突破には、会場が多いに湧いた。

 今大会は大会史上初めて各国の代表チームが参加した大会となったが、長時間移動と時差、初めて体感する日本の蒸し暑さにより、日本の選手たちに比べてコンディションの良くない中でも、ポーランド、ウズベキスタンの両国代表チームは強さを示した。
 最終結果は優勝がウズベキスタン、準優勝は2勝1敗のポーランド、3位に1勝2敗の日本、4位に3敗の広島となった。
Balcom BMW CUP 平和祈念 広島国際ユースサッカー 2015 OFFICIAL NEWS WEB SITE 大会最終結果

 そして、大会2日目の10日に行われた大会プログラムの1つである平和学習では、熱心に取り組むポーランド、ウズベキスタン両国の選手、スタッフの姿が見うけられた。

 彼らは前夜にホテルで各チームの選手たちが共同作業をして折った折り鶴と花を、広島、日本の選手たちと共に平和の碑へ捧げ、祈りと黙祷を行った。
 その後、原爆資料館を見学し、被爆者である語り部の寺本さんから被爆体験の話を彼らは聴いたのだが、移動中も熱心に資料を読み込むなど、随所に積極的な姿勢が見られたのである。

 平和学習のプログラムを終えたポーランド代表主将のアダムチェクは、「今回、広島で平和記念公園を訪れ、広島の原爆について知る、このような機会を与えていただき、本当に感謝している。僕たちも子どものころからアウシュビッツについて多く学習しているが、広島でも同じように戦争によって多くの方々が亡くなった。今日学んだことは自分の心に深く刻まれた。」と述べ、自分たちにとって、広島でのこの平和学習がいかに大切な時間であったかを強調した。

 被爆から70年。被爆者の平均年齢は80歳を超えた。直に被爆体験を伝えることが年々難しくなる中、広島から遠く離れた異国の地から10代の若者たちが生まれて初めて広島を訪れ、被爆者の方に直に話を聴いたことには大きな意義があると感じる。

 今回で第10回を終えたこの大会。今後も末永く継続して行っていかれることを願ってやまない。

2015年8月23日
編集長 柴村直弥

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